おいしい珈琲との出会い
今日は雑談というか、ずっとどこかに残しておきたかった話を書こうかな。
ただのひとりごとだけど。
私の実家は誰も珈琲を飲まない。
だから私は、珈琲が苦手だった。
正確に言うと、ほぼ珈琲を飲んだ事がなかった。
ファミレスのドリンクバーの「苦くてえぐい味の飲み物」が珈琲だと思ってたんだよね。
そんな自分が、喫茶店で働く事になった。
マスターとママさんがいる、とってもハイセンスなお店。
マスターは優しい老紳士。
ママさんはそれは華やかな素敵な方。
1杯出し珈琲との出会い
面接の時に、ママさんが珈琲をいれてくれた。
豆を挽いて、目の前でドリップしてくれて、
本当にいい香りが漂ってきて。
ひとくち飲んでびっくり。
「すごくおいしい!」
私が今まで珈琲だと思っていたものって何だったんだろう?
って思うくらい、おいしい飲み物だった。
「うちの店はね、注文が入ってから豆を挽いて、珈琲をたてるのよ」ってママさんがにこやかに話してくれた。
衝撃的!
この珈琲との出会いが、後から考えると、未来の自分がとっても幸せになるポイントだった気がする😊
プレッシャーの日々
お店で働くようになって、私の担当は主にドリンク作り。
そう、珈琲豆を挽いて、注文毎にドリップしてお客様に提供するの。
練習はしたけど、最初からおいしい珈琲なんていれられるはずないし、、、
それでも私が淹れた珈琲をお客様に出さなきゃいけないし…
最初はプレッシャーと、こんな素人の淹れた珈琲にお金出してもらっていいんか😭😭と、不安でいっぱいだった。
とにかく必死だったなー。
でも楽しかった。
家族にもおいしい珈琲を飲ませてあげたいな〜と、練習がてら家でもペーパードリップで珈琲を入れる様になった。
その時購入したドリップポットさんは今でも現役。
何度か買い換えようと思ったけど、愛着がわきすぎて😂
大切な事をたくさん教わった
お店はカウンターがメインの、おしゃれな落ち着いた素敵な場所だった。
お客様も常連さんが多くて、皆さん優しくしてくれた。
使っている食器はノリタケとWedgwoodで、どれも本当に素敵だった。
若くて無知だった私は、このお店で本当に色んなことを教えてもらったなあと思う。
仕事に対する姿勢や、接客の奥深さ。
マスターやママさんには一度も怒られなかった。
私が何か間違った対応をした時は、静かに諭してくれた。
本当に若くて世間知らずの小娘に、丁寧に接してくれた。
多くを語らず、大事な事をさり気なく示してくれて、
仕事も任せてくれて、いつも温かく見守ってくれていた。
任せるの、心配じゃなかったかなあ。とか時々今も思うけど、失敗した時は全力でフォローしてくれた。その失敗も、次はこうしようっていうよい経験になったね😊って言ってくれたりして。
私がもし誰かを教える立場になったらこう有りたいと思うようになったんだ。
仕事の、良い報告は後回しでもいい。
でも悪い報告は絶対に後回しにしてはいけない。
悪い内容の報告は、早ければ早いほど対策を考える事ができるからね😊
良い報告はいつでも、後からでもみんなで喜びあえばいい😊
っていうマスターの教えは、その後ずっと守り続けてる。
夫にも、今の職場の学生さんたちにも伝えてたりします(笑)
好きだったカップ☕
我が家にもあります😊✨
少しだけ自信を持てた!
働き始めて半年くらい過ぎた頃。
ようやく珈琲のドリップにも少し慣れてきて、でもやっぱりこれで大丈夫かな😢と思い続けていて。
モーニングの時間が終わった後、一瞬暇な時間に、毎朝私が珈琲を淹れて、マスターと朝ご飯を食べていたんだけど、珈琲の味について何か言われた事はなかったの。
でも、10月のある朝、「今日の珈琲、本当においしいねえ…😊」って、初めてマスターがにこやかに言ってくれて、嬉しくて嬉しくて、少し自信を持てるようになった。
その後はお客様にもやっぱりあなたのいれる珈琲がいちばんおいしいね!とか言ってもらえる事が増えたんだよ。
やっぱり、何事も続けなければ上手にはならないと学んだ。
三日坊主の私だけど、珈琲だけは全然飽きなかったんだよね。
私の仕事の基本は、このお店で教わった事が大半を占めていると思う。
感謝しかない。本当に。
それから
初めて珈琲っておいしい!って思ったあの日から、あっという間に長い時間が過ぎて、今では自信を持っておいしい珈琲をいれられるようになった。
結婚を機にお店を辞める事になって、なかなかお店に足を運べずにいるうちに、マスターが亡くなった事を聞いて。。。
お店も閉店していまい。。
ちゃんとお礼も言えなかった。
たくさん伝えたい事があったのに。
マスターとママさんと働いた時間は、私の人生の財産です。
マスターが、「どんなにお金を積んでも買えないものがあるんだよ。経験は財産。自分だけの宝物だから。」っていつか言ってくれた事があったけど、本当にそうだなって思ってる。
若かったあの頃よりも、年齢を重ねた今のほうがマスターの言葉が身に沁みてわかるというか。
思い返すたびに、自分の土台になってるなぁと、いつも思うんだよね。
マスターと今話せたらどんなにいいだろう…。
たくさんの感謝を、直接伝えられなかったこと、、本当に寂しいな。
心のなかにいつもある気持ちを、言葉にして整理してみたくて。
これを機に書いてみた。
あの日、珈琲っておいしいって気が付かなかったら、今の自分じゃないかもしれないんだよね。
あれから、スペシャルティコーヒーの専門店で働くようになって、
ますます珈琲って楽しい!って思うようになって。
ここでかけがえのない仲間、友達ができて、自分にとって楽しい事がたくさん増えて。
この出会いも珈琲繋がりなんだよなー。って思うと不思議。
小さな世界だけど、自分の世界を確実に広げてくれた、珈琲が繋いだ素敵な出会いに日々感謝してます。
自分と家族のため珈琲をいれる時間はいつも最高に楽しい。
お店で飲む珈琲もおいしくて幸せ。
これからも、楽しい珈琲時間を過ごしていこう。